緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2025年

2025/8/22
緩和ケア便り 8月号

慶應義塾大学医学部 産婦人科学教室 林龍馬

この度、2025年6月に、大学院のがんプロフェッショナルコース養成コースの一環として、緩和ケアチームに参加し、1ヶ月間研修させていただきました。
先生方におかれましては、お忙しい中大変貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

私は産婦人科医として、主に婦人科領域で悪性疾患の患者様の診療にこれまで度々関わってまいりました。婦人科がんの患者様は、末期であるかどうかにかかわらず、様々な症状や痛みを日々抱えておられ、その内容も程度も、一人ひとり異なっております。
臨床医として働いていると、感覚として、つい「治療そのもの」、つまり手術や抗癌剤治療のみにフォーカスしてしまい、治療を行う前や行った後の、患者様が日々の日常生活をどう過ごされているか?に対する配慮が薄くなってしまうことがあるのではないかと、以前より自省も含めて考えておりました。

その中で、当院の緩和ケアチームでは、患者様のお言葉を時間をかけて直接聞き、患者様がどのようなことを感じているか、今何に悩んでいるかに寄り添うことを非常に重要視しておられることに、大きく感銘を受けました。
また、痛みなどの症状だけでなく、治療の合間に自宅へ一時退院したり、好きなライブへ行きたい等の患者様のご要望についても、最大限それが実現できるようにあらゆる方法を考え、薬の調整をしたり、過ごし方についてご提案をするなど、単なる治療を超えた関わり方を、緩和ケアチームのスタッフの方々は行っておられました。

痛み止めやオピオイド等の医療用麻薬の使い方、適切な量についても学ばせて頂き、大変勉強になったのですが、それ以上に「患者様にいかに正面から向き合うか?」について、今回の研修で得たものは大きかったと感じております。
今後の診療においても、今回学んだことを活かして、心身ともに寄り添える医者を目指してまいりたいと思います。
改めまして、この度はありがとうございました。

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