- 2025/7/7
- 緩和ケア便り 7月号
慶應義塾大学医学部 外科学教室(一般・消化器)
枝浪 元紀
大学院のがんプロフェッショナル養成コースで、がん関連診療科で研修する機会をいただいたため、緩和ケアチームにて2025年3月の1ヵ月間研修をさせていただきました。これまで私は外科医として主に肝がん・膵がん・胆道がんなどの診療に携わってまいりました。これまでも多くの患者さんやご家族と日々お話しており、なかでも緩和的治療を必要とする患者さんとお話する時間は自分なりに多く取ることを心がけておりました。しかし、体系的かつ主体的に支持療法を含む緩和ケアチームと関わりを持ったり、ご指導頂いたりする機会はありませんでした。今回チームに入らせていただきながら実習という形で多くのことを学ばせていただきました。
まず、がん性疼痛に対する支持療法について幅広く学ぶことができました。医療用麻薬の中でも様々な種類や特性があり、症状により合った薬剤選択や、経口摂取の可否・在宅での負担等を個々の患者さんに応じて検討し剤形の選択を行うことの重要性を認識しました。患者さんの痛みだけでなく支えてもらうご家族のことも考慮して選択することが非常に大切であると学ぶことができました。そのうえで身体診察のみでなく患者さんやご家族から多くのことを読み取り、吟味していくことが重要であると改めて実感しました。
さらに、肉体的な痛みのみならず、これからどのように暮らしていけばいいのか、どうすればいいのかといった悩みや日々思っている事に向き合うことの方法を学びました。外科の担当医として回診するとどうしても疾患の治療が第一目標となってしまいますが、その過程で患者さんがどのような困難を抱えていてどのように寄り添うことができるのかということを改めて考えることができました。
最後になりましたが、非常に親身に指導してくださった緩和ケアチームの方々、診療させて頂く機会を快く引き受けてくださった患者さんとご家族の皆様に、心からお礼を申し上げたいと思います。