緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2020年

2020/4/1
緩和ケア便り 4月号

未来がん医療プロフェッショナル養成プラン
(高齢がん患者に対する緩和医療実践コース)
みなみ湘南医院 井上瑞

2019年7月から2020年3月まで、緩和医療実践コースで研修させて頂きました、みなみ湘南医院の井上瑞です。

大学病院での緩和ケアチームの回診や関連施設での研修など、とても勉強になる経験をさせて頂き、スタッフの皆様に温かく沢山のことを教えて頂きました。

私は整形外科出身のリハビリテーション科の医師で、手術や化学療法を乗り越えたのに進行してしまった骨がんの患者さんに、研修医の時、かける言葉が見つからず何もできない自分の無力さを痛感したことが、今でも心に残っています。

がん患者さんは身体の痛みだけでなく、気持ちの辛さ、不安を抱えて闘病されている方が大半と思います。緩和ケアチームの様々な方面からの細やかな対応で、身体の痛みが軽減し楽になった、食事も食べやすいものが出てきたなど、日々のことが改善されるのと同時に、精神の先生のサポートで患者さんの気持ちも楽になっていかれるのが、回診の時、伝わってきました。

がんは革新的な治療も行えるようになりましたが、手術に関わる治療中、化学療法や放射線療法の間、病気を治すための治療ができなくなってしまった時など、色々な段階での身体や心の苦痛があると思います。

状況の受容が難しかったり、本人だけでなく、ご家族も不安や苦痛を抱えることがあると思います。患者さんだけでなく、ご家族の苦しさに対応していくのも、緩和ケアの大切な側面と思いました。

緩和ケアチームは、多職種で構成されているため、それぞれのスタッフが専門性を活かし、患者さん本人やご家族の苦痛を察知して対応し、適切なケアを提供できるのだと思いました。

今回、患者さんやご家族に教えて頂いたこと、緩和ケアのスタッフの皆様に教えて頂いたことを、今後の診療や自分の在り方を考える時、活かしていくことができたらと思います。

最後になりましたが、貴重な経験をさせて下さいました緩和ケアチームの皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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