- 2017/08/18
- 緩和ケア便り 8月号
放射線治療部 がんプロフェッショナル養成コース
元村祐介
2017年6月と7月の2か月間をがんプロフェッショナル養成プランの一環として緩和ケアチームで研修させていただきました。
外来、病棟回診はもちろん、看護師さん、薬剤師さん、医師でのカンファレンスは非常に勉強になりました。(放射線科に入ってからは病棟に行く機会はめっきり減っていたので、病棟回診はちょっと新鮮でした。) 専門というには経験が浅くまだ烏滸がましいのですが、今現在研鑽させていただいている放射線治療分野においては、科の仕事の性質もありますが、他科から依頼されて初めて動けるという受け身的なところがあります。もちろん一旦依頼されれば、科として対応できる症状などは無いか情報を精査して能動的に主科と相談して動いています。そういった面で、現在の当院の緩和ケアチームは親近感を勝手に持たせていただきました。また、衛生病院と野中医院様での研修では、大学では見られない緩和ケアの実態・現状・現場の方々の御意見をうかがうことが出来、非常に今後の糧となったと思います。
化学療法や手術を主体とする多くの科にとっては“がん治療”は腫瘍の除去であったり縮小などコントロールが主であり、緩和治療は支持療法としては認識されていても、治療後であったり治療とは関係ない範囲では軽視とまでは言わないまでも、あまり認識されていないことがまだまだ多いように感じます。(これは、治療の中で疼痛コントロールを中心とした緩和的治療を行っていたり、治療の性質上、通院から自宅の心配など患者さんのメンタルや生活に少し踏み込まざるを得ないような根治治療から緩和治療まで幅広く関わらせてもらえる放射線治療に携わらせていただいているが故の見方かもしれません。)そういったなか、めげずに頑張られている緩和ケアチームの看護師さんや薬剤師さん、医師の方々の働きを見て、頼もしさと同時に嬉しさを感じました。(皆様のバイタリティーにちょっとひるんだこともありましたが。)
患者さんのQOLの維持のために、身体的・精神的苦痛のみならず、社会的苦痛およびスピリチュアルな問題と患者さんが感じる様々な苦痛全てに向き合う“緩和ケア”が、かの予防医学と同時に緩和ケアにも目を向けられていた日野原大先生が広められた“生活習慣病”の様に普通のものとして浸透する日が来ることを期待し、それまで、微力ながら自分の出来る範囲で“緩和ケア”に関わっていければと思います。
また、“緩和”自体もそうですが、携わることの多い疼痛コントロールにおいても、マスコミなどであおられて“麻薬”という言葉に依然抵抗感をもたれる患者さんやご家族がいらっしゃり、そういった認識を上手く改められる様努めていきたいと思います。
最後に、実臨床におけるティップスのみならず、背景まで含めた患者さんとの向き合い方、実臨床において必要とされていることを含め様々なことをお忙しい中労を惜しまず教えてくださったチームの皆様方に改めて御礼申し上げます。今後も様々な面でお世話になることがあるかと存じますが、その節にはまた宜しくお願い申し上げます。2ヶ月間本当にありがとうございました。