緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2009年

2009/02/25
慶應義塾大学病院 緩和ケアチーム ホームページ公開にあたって

橋口さおり

いきなり内輪の話になって申し訳ありませんが、慶應義塾大学というところはとても不思議な組織です。
全国にある多くの緩和ケアチームは、昨今のがん医療体制の整備に伴って、病院に中にまず「緩和ケアチーム」と呼ばれる箱を作る形でできあがっているのではないかと思います。

ところが、うちのチームは、いわゆる箱がないところにできあがりました。
そもそもは1997年に有志の看護師が集まって、緩和ケアの勉強会が始まり、ここに声をかけられた(引きずられた?)医師や薬剤師が巻き込まれる形で発展してきました。
慶應は、このような自発的は活動に対してはとても寛容なところで、あまりとやかく言われることもなく、種火を灯し続けるような日々が10年余り。
そして、ここ2年ほどの「がん対策基本法」という大風が吹いて、いまやカチカチ山のタヌキのように、お尻に火をつけて走り回っているかのような日々です。

幸い、多くの同志と理解者に恵まれ、今に至ります。このような成り立ちは、臨床のスタイルにも反映されており、名づけて「鵜飼スタイル」。
鵜匠は、緩和ケア担当の看護師で、私たち医師は、まるで鵜のごとく、コンサルテーション業務をこなしています。緩和医療は、特に患者さんを中心に展開されなければならないものですが、専門の看護師によるコントロールは、専門職が効率よく病棟や外来の患者に関与する上で、とても役立っているように思います。

また、日々の臨床は当然のこと、大学病院の緩和ケアチームですので、教育や研究についても責任があります。
専門医教育の他、地域の連携施設との交流、臨床医向けの緩和ケア研修会の開催など、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。

最後になりますが、当院前包括医療センター長の故・久保田哲郎教授には、緩和ケアについてとりわけ深くご理解され、私たちの活動を強力に後押しをしていただきました。
ここにチーム一同より心から感謝申し上げるとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。

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